大判例

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大阪高等裁判所 昭和41年(う)2127号 判決

判決理由〔抄録〕

よって所論にかんがみ記録を精査し案ずるに、信号機によって交通整理が行なわれている交差点にあっては、車両等は信号機の表示する信号に従わなければならないこと所論のとおりである。ところで本件交差点は幅員約四一米の東西道路と幅員約三三米の南北道路とが交わるきわめて広い部分(所論のように東、西の駐車場入口を結ぶ部分を除いた二つの交差点にわかれるものではないと思料される。)であって、交差点の東および西詰には、東西道路の中央部に幅約一五米の長堀地下駐車場入口の障壁や通風塔および植込みなどのため、東西道路を西進して本件交差点を通過しようとする自動車には右障壁などのため交差点の北側に対する見透しがきわめて悪く、また東西道路を東進して本件交差点を右折南進しようとする自動車(但し、本件交差点においては八時から二〇時までは右折禁止となっている。)には、右駐車場の障壁などのため同交差点東側対向車線上に対する見透しが悪いという特殊の交差点であり、このような見透しの悪い交差点にあっては、前記右折禁止解除の時刻に東西青の信号で東から西へ直進して交差点を通過しようとする車両の運転者は、東西道路を東進して来た車両が同交差点を右折南進してくることが十分予想される(道路交通法三七条二項によれば、車両等は交差点で直進しようとするときは、当該交差点において既に右折している車両等の進行を妨げてはならないこととなっているから、被告人中嶋の進路前方の交差点内に右折車が進行してくることが予想される。)から、何時にても急停止できる程度に減速して同交差点に進出し、右折車両等を早期に発見して衝突事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があるものといわなければならない。本件についてこれをみるに、被告人は、前記駐車場障壁ぎわの第四通行帯を西進し、交差点三〇米位手前で正面の青信号を見てから、信号が何時黄色にかわるかもしれないと、これに気をとられて制限速度四〇粁毎時を越える時速約五〇粁のままで交差点に進入し、交差点に入って初めて約八米右斜前方に横内の車を発見し、急制動の措置をとるとともにハンドルを右に切ったが及ばず衝突したものであるから、前記注意義務を尽したということはできない。したがって所論(一)は採用しがたい。また所論(二)は結局は被告人中嶋に本件交差点で青信号の場合、減速徐行の義務がないことを前提とするものであるから、これも亦採用しがたい。

してみると、本件においては、横内においても、駐車場の障壁等による見透しの悪い状況下に右折南進するに際し、対向車線より同交差点を直進しようとする車両のあることを予想し、減速徐行して対向車両の有無を早期に発見するように努むべき注意義務があるのにこれを怠って漫然同一速度で右折進行した点につき運転上の過失があったことは否定しがたいが、被告人にも交差点に進入する際の徐行義務を怠り、南北道路の交通の安全を確認しなかった点について過失があったと認めざるをえないのである。原判決には所論の如き事実誤認はないから、論旨は理由がない。

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